機密情報に触れられるのは“信頼された人だけ”――でも、何がどう選ばれる?
◆制度のスタート:国家機密に「アクセスできる人」を国が選別
2025年5月16日、「セキュリティークリアランス制度」が日本でもついに運用開始となりました。これは、経済安全保障上の重要情報にアクセスできる人を国が審査・認定する仕組みです。
海外ではすでに当たり前の制度ですが、日本では初の導入。民間企業の関係者も対象になるのが大きな特徴です。
◆どんな情報が対象なの?:公開されている想定内容
この制度で守ろうとしている情報は、以下のようなものが**「重要経済安保情報」として想定**されています。
- サイバー攻撃への防衛戦略や技術的対策
- 日本が世界に誇る先端技術(AI、量子技術、半導体など)
- 海外に依存している重要物資のサプライチェーン情報
現時点で個別の文書名や具体的な分類内容は公開されていませんが、政府は「安全保障に著しく関わる情報」と説明しています。
◆誰が、いつ、どこまで調べるの?:本人同意が前提の調査
この制度の核心は、「情報を扱う人物の信頼性を国がチェックする」という点です。
**調査するのは政府(内閣府などの担当機関)**で、本人の同意がある場合に限って調査が行われます。
調査対象となるのは、以下のような内容です(※すべて過去10年分):
- 国籍・学歴・職歴
- 犯罪歴
- 精神疾患の治療歴やカウンセリング受診歴
- 飲酒に関するトラブル
かなり個人のプライバシーに踏み込むため、「どこまでが必要な調査なのか」という点には、今後も注目が集まるでしょう。
◆情報を漏らしたらどうなるの?:罰則も明記
セキュリティークリアランスを取得して得た情報を漏らした場合には、以下のような罰則が科されます:
- 5年以下の拘禁刑
- 500万円以下の罰金
「うっかり漏らした」では済まされないレベルの重大な責任が課されます。
◆プライバシーとのバランスは?:制度の運用に注目を
城内経済安全保障担当大臣は、「プライバシー権を侵害しないよう、規定を厳格に運用する」と明言しています。
しかし、精神疾患やカウンセリング歴まで対象とされることに対し、人権団体などから懸念の声も上がっています。
この制度は、
- 国家機密を守る壁となるのか
- 個人の自由を侵す入り口となるのか
今後の運用次第で、その評価は大きく分かれることになるでしょう。
【まとめ】
- セキュリティークリアランス制度が本日運用開始
- サイバー防衛や先端技術などが対象情報と想定されるが、詳細は非公開
- 情報を扱う候補者は国が本人同意のもとに調査。過去10年の私生活までチェック
- 情報漏えいには厳しい罰則あり。制度の運用とプライバシー配慮が今後の焦点に
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