業務におけるメールの誤送信は、誰にでも起こり得るヒューマンエラーのひとつです。
一見些細に思えるミスでも、送信先や内容によっては、重大な情報漏洩や信頼失墜につながる可能性があります。
本マニュアルでは、メール誤送信が発生した際に速やかに実施すべき「初動対応」から、
情報漏洩が懸念されるケースにおける「詳細対応」まで、段階的に整理しています。
組織としての適切な対応を行うためには、関係部署への迅速な報告と、状況に応じた冷静な判断が求められます。
本マニュアルを参考に、万一の際にも慌てず行動できるよう、日頃から対応手順を把握しておくことが重要です。
■ 目的
メールの誤送信により発生する情報漏洩・信頼失墜のリスクを最小限に抑えるため、社員が迅速かつ的確な対応を行えるよう、本マニュアルを定めます。
■ 対象者
業務でメールを使用するすべての社員
■ 1.初動対応フロー
【STEP1】落ち着いて状況を確認する
- 誤送信の相手は誰か?(社内/社外)
- 送ってしまった内容は何か?(本文、添付ファイル、個人情報や機密情報の有無)
- 誤送信に気づいた時間は?(送信からどのくらい経過しているか)
【STEP2】送信取消が可能か確認・実行する
- メールソフトの「送信取消機能(例:Outlook、Gmail)」を試す
- 添付ファイルの共有リンクがある場合は、すぐにアクセス権限を削除または無効化する
【STEP3】上司と情報システム部門へ即時報告
報告時のポイント:
- 件名/送信日時/誤送信先/本来の送信先
- メール本文と添付ファイルの概要
- 機密情報・個人情報が含まれていたかどうか
- 現時点で実施した対応(取消、削除など)
【STEP4】誤送信先への連絡(上司の指示があれば実施)
- メール削除の依頼
- 添付ファイルの破棄依頼
- 第三者への転送・閲覧を禁止する旨の依頼
※自己判断で連絡を行わず、必ず上司や情報システム部門の指示を仰いでください。
【STEP5】添付ファイル・リンクのアクセス制御
- クラウド共有リンク:アクセス権の即時停止
- 機密ファイルが添付されていた場合:ダウンロード状況を確認し、可能であればアクセスログを取得
【STEP6】社内での記録と再発防止
- インシデント報告書を作成し、記録を残す
- 再発防止策(例:ダブルチェック、送信前確認ツールの活用)を検討し、共有する
■ 2.情報漏洩が懸念される・発生した場合の対応
【STEP1】リスクレベルを把握する
以下の情報が含まれていたかを確認します:
- 個人情報(氏名・住所・電話番号・メールアドレスなど)
- 顧客情報(企業名、契約内容など)
- 社内の機密資料(企画書、戦略資料、パスワード情報など)
【STEP2】情報システム部門による技術的調査を依頼
- メールサーバのログ確認(送信先、開封状況など)
- クラウドリンクのアクセス履歴確認
- 必要に応じて、アクセス制限・遮断の措置を実施
【STEP3】関係部門と連携し、対応を協議
関係する部門(法務、総務、広報など)と連携し、以下を検討:
- 誤送信先との対応方針
- 被害範囲の特定と対処(情報の二次流出の懸念など)
- 対外的な報告・説明が必要かどうか(顧客・取引先への説明含む)
【STEP4】必要に応じて監督官庁へ報告
個人情報保護法などに基づき、法令に則った報告義務がある場合は、以下の対応を実施:
- 個人情報保護委員会への報告
- 本人への通知
- 指定様式での報告書提出(必要に応じて)
【STEP5】再発防止策を立案・周知
- 教育・研修の実施
- メール送信前チェックツールの導入
- 添付ファイル送信ルールの見直し(クラウド送付への切り替えなど)
- 全社員への注意喚起と事例共有
■ 禁止事項
- 自己判断による放置や隠蔽行為
- 指示を仰がずに独断で相手に謝罪メールを送ること
- 対応記録を残さないまま終えること
■ 補足事項
- 本マニュアルは、軽微な誤送信から重大な情報漏洩までの対応を網羅しています。
- 情報の重要性・誤送信先の属性に応じて、柔軟かつ迅速に対応してください。
- 不明点がある場合は、「まず相談・すぐ報告」を原則としてください。
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