こんにちは。今日は、サイバー攻撃の中でも特に深刻な「ランサムウェア」について解説します。企業や組織だけでなく、個人のパソコンやスマートフォンも被害に遭う可能性があり、日常的な対策が重要です。
ランサムウェアとは
ランサムウェアとは、感染するとパソコンやサーバー内のデータが暗号化され、アクセスできなくなるマルウェアです。攻撃者は「データを復元したければ身代金を支払え」と要求します。
近年では、単にデータを暗号化するだけでなく、「身代金を支払わなければデータを公開する」と脅迫する「二重恐喝型」の手口も増えています【出典:警察庁「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」】。
2024年のランサムウェア被害の実態
警察庁の報告によると、2024年におけるランサムウェアの被害報告件数は222件であり、依然として高水準で推移しています。また、復旧にかかるコストや時間も増加しており、特に中小企業の被害が37%増加しています。
実際に発生した被害
- 出版大手企業への攻撃(2024年6月)
25万人分の個人情報が流出し、復旧に20億円以上の損失を計上。 - 情報処理サービス企業への攻撃(2024年5月)
自治体向けサービスが停止し、個人情報が漏洩。
このように、ランサムウェアの被害は企業の経営に深刻な影響を与えています。
ランサムウェアの主な感染経路
ランサムウェアは、さまざまな経路で感染します。以下のポイントに注意しましょう。
- フィッシングメール
- 偽の請求書やセキュリティ警告を装ったメールの添付ファイルやリンクを開かせ、マルウェアを実行させる。
- リモートデスクトップ(RDP)の脆弱性
- 遠隔操作の機能(RDP)を適切に管理していないと、不正アクセスを受ける可能性がある。
- VPNやネットワーク機器の脆弱性
- 最新のセキュリティパッチを適用していないと、攻撃者に侵入される可能性が高まる。
- USBメモリや外部デバイス
- 感染したUSBを使用すると、ウイルスが広がる可能性がある。
ランサムウェアの被害を防ぐには
1. データのバックアップ
- 重要なデータはオフライン環境にバックアップすることが推奨されます。
- クラウドストレージのみのバックアップは、ランサムウェアにより暗号化されるリスクがあるため、外部ハードディスクやUSBメモリを活用しましょう。
2. OS・ソフトウェアのアップデート
- ランサムウェアは古いソフトウェアの脆弱性を狙うため、常に最新のアップデートを適用することが重要です。
3. 二要素認証(2FA)の導入
- 企業や個人のアカウントを保護するため、二要素認証を設定し、不正アクセスを防ぎましょう。
4. 怪しいメールやリンクを開かない
- 送信元が不明なメールの添付ファイルやリンクをクリックしないことが大切です。
- 「送金依頼」「緊急対応」などの件名のメールは特に注意が必要です。
5. セキュリティソフトの導入
- ランサムウェア対策機能があるセキュリティソフトを導入し、定期的にスキャンを実施しましょう。
感染した場合の対応
ランサムウェアに感染した場合、慌てずに以下の対応をとりましょう。
1. ネットワークから切り離す
- 感染が拡大するのを防ぐため、LANやWi-Fiを切断しましょう。
2. すぐにセキュリティ担当者へ連絡
- 企業の場合は情報システム部門やセキュリティ担当者に報告。
- 個人の場合は警察(サイバー犯罪対策課)や専門のITサポートに相談。
3. 身代金は支払わない
- 身代金を支払っても、データが復旧する保証はありません。
- さらに、支払いにより攻撃者を支援することになり、新たな攻撃を招く可能性があります。
まとめ
ランサムウェアの脅威は年々深刻化しており、企業や個人にとって重要なセキュリティ課題となっています。
以下のポイントを押さえて、しっかりと対策を講じましょう。
- 定期的なバックアップを取る(オフライン環境推奨)
- OS・ソフトウェアを最新の状態に保つ
- 二要素認証(2FA)を導入する
- 怪しいメールやリンクを開かない
- セキュリティソフトを導入し、定期スキャンを行う
それでは、また次回の「Today’s Security」でお会いしましょう。
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